「Cookieレス時代」のファーストパーティデータ活用で注目されるEC・流通企業の「リテールメディア」
※この記事はネットショップ担当者フォーラムの記事を転載・編集しています。
Webサイトの閲覧履歴を保存するクッキー(Cookie)による情報の取得が規制され、Web業界は「Cookieレス時代」に突入していると言える。そんななかで関心が高まっているのがファーストパーティデータの活用だ。ファーストパーティデータは、企業が自社で収集・保有している顧客データ。自社のECサイトなどで集積する会員情報や閲覧履歴、購買履歴などが該当する。
消費者は「ファーストパーティデータによる顧客理解を期待している」――。RoktとHarris Pollが実施した共同調査で明らかになった、消費者データの扱いに関する企業への期待。その1つのカギとして、「レレバンシー」をあげている。
レレバンシーとは「好みや嗜好に合う」「興味・関心に合う」といった意味。日本の消費者の80%は「レレバントな体験を作り出すためにファーストパーティデータを活用しているECサイトでは普段以上の金額の買い物をする」と回答しているのだ。 また、61%の消費者が「自分に合わせてパーソナライズしてくれるブランドからは、より購入する可能性が高い」とも回答。日本の消費者はリテール側によるファーストパーティデータ活用に寛容になっており、自身にとって関連性の高いレコメンドなどを通じた「レレバント」な買い物体験を求めている。
ECサイトでの買い物意向
「レレバント」な体験提供には高精度な顧客理解が必須で、それを実現するカギこそがファーストパーティデータの活用と言えそうだ。 こうしたなか、自社のファーストパーティデータを活用した広告配信で新たな収益源の確保、顧客体験の向上につなげようとするEC企業や流通企業の取り組み「リテールメディア」に注目が集まっている。文字通り、「リテール=小売の売り場の広告媒体」という意味で、たとえばリアル店舗の店頭にあるデジタルサイネージ、ECサイト内やアプリの広告枠が該当する。
注目される理由は、リテール側が持つファーストパーティデータを活用し、Cookieに依存せずユーザーごとにパーソナライズされたオファーができることなど。国内ではAmazonや「楽天市場」の楽天グループなどがリテールメディアの先行企業で、2022年にはセブン-イレブン・ジャパンが「リテールメディア推進部」を新設、2023年末に「ドン・キホーテ」を展開するPPIHが博報堂とリテールメディア事業を展開する新会社を設立するなど、流通企業の取り組みも加速している。
デジタルインファクトとCARTA HOLDINGSの共同調査によると、日本国内のリテールメディア広告市場は拡大を続けており、2023年は前年比21.5%増の3625億円と予想。2027年には2023年の約2.6倍となる9332億円に達するとも調査では見込んでいる。 これまでECにおけるリテールメディアといえば、ECモール内で販売されている商品を広告によって優先的に表示する、いわゆる“エンデミック広告”(モール内での検索連動型広告など)が中心だった。それが、Roktのソリューションによって、大きく変わる可能性がある。
リテールメディア広告市場規模推計・予測(デジタルインファクトとCARTA HOLDINGSの発表資料をもとに編集部が一部加工)
Roktを活用すれば、小売事業者などは自社のプラットフォームに出店・出品しているブランドに限らず、さまざまなジャンル・カテゴリの広告主によるオファー、すなわち“ノンエンデミック広告”を手軽に表示できるようになる。自社サイトでは扱わないジャンル・カテゴリのメーカーの商品や、非メーカー系のサービスなども含めた多くのオファーの選択肢のなかからユーザーにとって「レレバント」なものを届けられるようになると同時に、外部広告主とのアクセスを可能とすることで広告事業の経済規模も拡大。大きな事業成長へのカギとなりそうだ。
ECサイトの「購入の瞬間」を簡単にリテールメディア化する「Rokt Ecommerce」とは
新たな収益源の創出、顧客体験向上を実現
「Rokt Ecommerce(ロクト・イーコマース)」は、ECサイトなどで顧客が買い物を完了した直後の「購入完了ページ(=サンクスページ)」上などに、外部の広告主によるオファーを表示できるソリューション。数百億円規模の投資により実現したRokt独自のAI・機械学習技術により、導入するECサイトが収集・所有するファーストパーティデータを分析し、顧客に関連性の高いオファーをリアルタイムで表示する。 EC事業者などは、自社ECサイトのサンクスページなどに顧客の興味・関心に適した広告を配信するリテールメディア化に取り組むことができ、広告収入という付帯収益を生み出すことができる。
AI+機械学習で「レレバンス」の高い買い物体験を提供する
国内の名だたる企業がリテールメディア化を実現
「Rokt Ecommerce」は世界中で大手企業を中心に導入されている。国内では、コメ兵のほか、リテールではZOZO、家電EC大手のXPRICE、チケット大手のチケットぴあやローソンエンタテインメント、旅行系では高速バスなど旅行・交通ソリューションのWILLER、LCCのPeach Aviation、エンタメ領域では大手シネコンのユナイテッドシネマなど、ECを活用する多種多様な企業が導入。広告配信による新たな収益源の創出や顧客体験の向上につなげている。 大規模な開発は不要で、表示したいページのソースにJavaScriptのタグを貼るだけで導入することが可能。全デバイス・全言語の最適化もスムーズに対応できる。独自のAI・機械学習技術がファーストパーティデータを分析、表示する広告をユーザーのニーズや購買履歴、興味などに合わせて配信する。 導入企業は広告主営業も不要。大企業でなくても自社ECのアセットを活用して簡単にリテールメディア化できる点が特徴だ。
導入サイトが実現する、広告による新たな収益創出
●家電ECの「XPRICE」……eCPM(CPCやCPAをCPMに換算した場合の広告表示1000回あたりの費用)6680円、平均ポジティブエンゲージメント率 8.3%
●チケット販売の「チケットぴあ」……eCPM6500円、平均ポジティブエンゲージメント率 7.3%
●WILLER……eCPM7500円、平均ポジティブエンゲージメント率 8.1%
●Peach Aviation……eCPM6300円、平均ポジティブエンゲージメント率 7.1%
●ユナイテッドシネマ……他の広告配信ツール平均と比べてRoktが21倍の収益パフォーマンス
上記は、「Rokt Ecommerce」を導入した企業での広告配信による効果だ。ECサイトで購入ボタンをクリックした直後に目にするサンクスページでは、消費者の購買意欲が最も高まっており、そこで自身に最適な広告を配信することは顧客エンゲージメントに直結する。
また、Roktが「トランザクション・モーメント」と呼ぶ、この「購入の瞬間」の顧客心理をうまく捉えられるようなオファーが充実していることも、高い広告効果が実現している理由だという。
たとえば、原則トライアルは提供していないサブスクサービスが、Rokt限定のお得なオファーを用意するなど、限定感を伴う魅力的な広告素材も多い。こうした部分からも高いエンゲージメント率やeCPMに貢献できる。リテールメディアに関する取り組みを検討しているEC事業者の第一歩としても「Rokt Ecommerce」は最適だ。
導入企業にヒアリングすると、「Rokt Ecommerce」でリテールメディア化の可能性をテストしているケースは多い。導入のハードルが低いことはもちろん、セキュリティやブランドセーフティ、収益性の面でベネフィットを提供できるので、ぜひチャレンジしてほしい。Cookieレス時代に突入し、広告主側も新たな露出面を探っている段階。こうした観点からも出稿先としてのリテールメディアのニーズは高まっていく。今ECサイトをリテールメディア化していくのはチャンスとも言える。
「Rokt Ecommerce」で広告を配信したい広告主も募集中
なお、「Rokt Ecommerce」で表示させる広告の出稿主を、「Rokt Ads」というソリューションで募集している。
広告主側では、旅行マーケットプレイスである「Booking.com」で、目標を15%上回るROAS水準を達成したという成功事例もある。イベントチケットなど旅行と関連性の高い「Rokt Ecommerce」導入サイトのサンクスページに、視認性が高くネイティブな形式のオファーを提供し奏功した。そのほか出稿企業の成功事例として、年間顧客獲得数164%増、他媒体と比較し8倍の月額収益というケースもある。
オファー表示イメージ
◆ ◆ ◆ 「Rokt Ecommerce」「Rokt Ads」はオーストラリア発のテック企業・Rokt(本社:米ニューヨーク州)が運営するソリューション。独自の機械学習テクノロジーを活用し、世界中で年間数十億件ものトランザクションの収益化を支え、北米、ヨーロッパ、日本を含むアジア太平洋地域の15か国で事業を展開している。PayPal、Uber、Lands’ Endといった世界中の主要企業が利用している。2022年には、急速な成長を遂げた米国民間企業のランキングであるInc. 5000社リストに2年連続で選出されているほか、独自の機械学習アルゴリズムは10以上の受賞歴を持つ。